ソフトダーツのプロツアーに参加した場合にかかる経費と賞金について、日本国内の二大プロツアー通称「JAPAN(ジャパン)」と「PERFECT(パーフェクト)」を比較してみました。
これからソフトダーツのプロライセンスを取得しようと考えている人や、スポット参戦するか全戦出場するかを考えているプレイヤーの参考になればと思います。
最新情報は必ず各団体のホームページをご確認ください。
目次
ソフトダーツのJAPANプロツアー情報
JAPANプロダーツツアーの正式名称は「SOFT DARTS PROFESSIONAL TOUR JAPAN/JAPAN LADIES」です。略して「ジャパンツアー」とも呼ばれます。
JAPANのツアーは年間18戦(STAGE1からSTAGE18まで)開催されます。JAPANは年度切り替えのため、4月以降にツアーの1戦目(STAGE1)が開催されます。
※2021年度のJAPANツアーは新型コロナウイルスの影響で全15戦となる見込みです。
2022年2月22日に、2022年度のツアー日程が発表されました!
JAPANプロツアーの出場費用
JAPANのツアーに出場するには、プロライセンスカードを登録・所持している必要があります。プロライセンスカードの所持には、登録費(更新費)30,000円、選手会費700円、プロライセンスカードの受け取り送料の負担が毎年必要となります。
JAPANのツアーにエントリーする際には、施設使用料分担金15,000円を振り込まなければいけません。1年間の全戦に出場する予定であれば、施設使用料分担金だけで270,000円(15,000円×18戦)を見積もっておきましょう。
他にかかる費用として、ユニフォーム代と試合会場までの遠征費が必要になります。ユニフォーム代については、デザインを凝れば凝るほど金額が高くなるので一概にどれくらいとは言えません。デビューしたての選手やスポンサーが付いていないプレイヤーは、ユニクロやAmazonで買えるポロシャツ(1,000~2,000円程度)で出場していることも多く、大会会場ではよく見かけます。
JAPANのプロツアーに参戦するためにかかる1年間の最低費用は、300,700円+ライセンスカードの送料+ユニフォーム代+遠征費です。
JAPANプロツアーの開催地と遠征費について
JAPANツアーの開催会場は年度によって異なります。全18戦が予定されていた2020年度ツアー開催会場の情報を基に遠征費の試算をしてみました。
東京の新宿駅を発着場所と仮定しています。会場が関東圏外の場合は、前乗りを見込んで宿泊費として10,000円を組み込んでいます。最安値ルートではなく、所要時間や乗り換え回数などを加味したルートを独断で選んでいます。
STAGE2の会場は西日本総合展示場です。小倉駅から徒歩5分です。
羽田空港と福岡空港を結ぶ最安の航空会社はスカイマークです。搭乗日当日にチケットを購入する場合は24,100円です。
新宿駅→羽田空港第一・第二ターミナル駅(490円)→福岡空港(24,100円)→小倉駅(1,570円)
片道交通費:26,160円
宿泊費:10,000円
スカイマークはLCC?MCCやFSCとの違いはなに?STAGE3の会場はセラミックパークMINOです。多治見駅からは多治見市コミュニティバス(ききょうバス)が走っています(土日祝日のみ)。
岐阜県には空港がないため、飛行機を利用する場合は中部国際空港を利用します。基本的には、新幹線と有料特急を利用するのが速くて安いです。
新宿駅→多治見駅(11,160円)→セラミックパークMINO(200円、または300円の1日乗り放題フリーパス)
片道交通費:11,310円
宿泊費:10,000円
STAGE4の会場はサンフェスタです。卸町駅から徒歩7分ですが、仙台駅からサンフェスタまでのバスも出ています。
新幹線を利用するのが速いです。
新宿駅→卸町駅(11,450円)または、新宿駅→仙台駅(11,200円)→卸町会館前(250円)
片道交通費:11,450円
宿泊費:10,000円
STAGE5の会場は朱鷺メッセです。新潟駅から路線バスで約15分です。
羽田空港から新潟空港までを直通運航している飛行機はありません。新幹線を利用するのが速いです。
新宿駅→新潟駅(10,020円)→朱鷺メッセ(210円)
片道交通費:10,230円
宿泊費:10,000円
STAGE6の会場はみやこめっせです。東山駅から徒歩8分です。
飛行機の場合はスカイマークを利用して神戸空港まで行き、神戸空港から東山駅まで電車を使います。神戸空港から東山駅まで電車の乗り換えが多いので新幹線の方がややおすすめです。
飛行機の場合:新宿駅→羽田空港第一・第二ターミナル駅(490円)→神戸空港(16,790円)→東山駅(1,190円)
新幹線の場合:新宿駅→品川駅または東京駅→京都駅(13,320円)→東山駅(260円)
片道交通費:13,580円
宿泊費:10,000円
STAGE8の会場はシャトレーゼガトーキングダムサッポロです。札幌駅からは無料のシャトルバスが出ています。
飛行機を利用します。
新宿駅→羽田空港第一・第二ターミナル駅(490円)→新千歳空港(33,660円)→札幌駅(1,150円)→無料シャトルバス
片道交通費:35,300円
宿泊費:10,000円
STAGE9の会場は地場産くるめです。JR久留米駅、または西鉄久留米駅から路線バスが出ています。
飛行機を利用します。
新宿駅→羽田空港第一・第二ターミナル駅(490円)→福岡空港(24,100円)→西鉄久留米駅(890円)→地場産センター入口(230円)
片道交通費:25,710円
宿泊費:10,000円
STAGE10の会場は神戸国際展示場です。市民広場駅からすぐです。
新幹線を利用します。飛行機の場合はスカイマークで神戸空港を利用するのがおすすめです。
新幹線の場合:新宿駅→品川駅→新神戸駅(14,420円)→三宮駅(210円)→市民広場駅(250円)
飛行機の場合:新宿駅→羽田空港第一・第二ターミナル駅(490円)→神戸空港(16,790円)→市民広場(250円)
片道交通費:14,880円
宿泊費:10,000円
STAGE11の会場はポートメッセなごやです。金城ふ頭駅から徒歩8分です。
新宿駅→東京駅→名古屋駅(10,560円)→金城ふ頭(360円)
片道交通費:10,920円
宿泊費:10,000円
STAGE13の会場は幕張メッセです。
新宿→海浜幕張(649円)
片道交通費:649円
STAGEの会場はアクセスサッポロです。大谷地バスターミナルから徒歩14分です。
飛行機を利用します。
新宿駅→羽田空港第一・第二ターミナル駅(490円)→新千歳空港(33,660円)→大谷地バスターミナル(往復券1,900円)
片道交通費:35,100円
宿泊費:10,000円
STAGEの会場は夢メッセみやぎです。仙台駅からバスが出ています。
新宿駅→仙台駅(11,200円)→夢メッセ(550円)
片道交通費:11,750円
宿泊費:10,000円
STAGEの会場はATCホールです。トレードセンター前駅から徒歩5分です。
新宿駅→品川駅→新大阪駅(13,870円)→本町駅→コスモスクエア駅→トレードセンター前駅(330円)
片道交通費:14,200円
宿泊費:10,000円
STAGE17の会場はSTAGE1と同じ大さん橋ホールなので省略します。
STAGEの会場はコンベックス岡山です。岡山駅からバスで約30分ですが、試合受付に間に合う時間のバスがないのでタクシーを利用しましょう。
新宿駅→品川駅または東京駅→岡山駅(16,600円)→コンベックス岡山(530円)
片道交通費:17,130円
宿泊費:10,000円
2020年度ツアーの開催予定会場で試算を行ったところ、1年間の交通費は約55万円、宿泊費を足すと約70万円になりました。
このほかにも飛行機や新幹線をアップグレードすると座席指定料金などのオプション料金などがかかります。予約する時期によっても搭乗券や乗車券の金額が変わってくるため、早めのチケット購入を心がけたいですね。
JAPANプロツアーの賞金
JAPANのツアーは、男女関係なくエントリーが可能な「JAPAN」と女性のみがエントリー可能な「JAPAN LADIES」が同時開催されます。「JAPAN」の方が「JAPAN LADIES」よりもハイレベルな戦いが想定されているため、賞金額が高く設定されています。
ツアーの賞金には、ステージ毎の入賞者に支払われる「出演料」と呼ばれるものと、1年間の全ステージが終了した時点でのプレイヤーズポイントのランキング(年間ランキング)によって支払われる契約金の大きく2つが存在します。
JAPANの賞金(出演料と年間ランキング)
JAPANの出演料はステージ毎の上位16名に10万円~120万円が支払われます。また、17位タイで一定の条件を満たすと次回ステージ出場時の施設使用料分担金が免除されます。
優勝:120万円
2位:60万円
3位タイ(2名):30万円
5位タイ(4名):15万円
9位タイ(8名):10万円
17位タイ(16名):次回ステージの施設使用料分担金免除
JAPANの年間ランキングが確定すると、出演料に加えて上位100名に3万円~250万円が支払われます。また、49位~100位までの選手は、次年度のプロライセンス更新費免除という形での3万円です。
1位:250万円
2位:200万円
3位:150万円
4位:100万円
5位~8位:80万円
9位:70万円
10位:60万円
11位:50万円
12位:40万円
13位~16位:30万円
17位~24位:15万円
25位~32位:10万円
33位~48位:5万円
49位~100位:3万円(次年度のプロライセンス更新費免除)
JAPANの全ステージで優勝して年間ランキング1位を獲った場合にもらえる賞金総額は4,500万円です。
JAPAN LADIESの賞金(出演料と年間ランキング)
JAPAN LADIESの出演料はステージ毎の上位8名に3万円~50万円が支払われます。また、9位タイで一定の条件を満たすと次回ステージ出場時の施設使用料分担金が免除されます。
優勝:50万円
2位:20万円
3位タイ(2名):8万円
5位タイ(4名):3万円
9位タイ(8名):次回ステージの施設使用料分担金免除
JAPAN LADIESの年間ランキングが確定すると、出演料に加えて上位64名に3万円~100万円が支払われます。また、17位~64位までの選手は、次年度のプロライセンス更新費免除という形での3万円です。
1位:100万円
2位:75万円
3位:40万円
4位:30万円
5位:20万円
6位:15万円
7位:10万円
8位:8万円
9位~16位:5万円
17位~64位:3万円(次年度のプロライセンス更新費免除)
JAPAN LADIESの全ステージで優勝して年間ランキング1位を獲った場合にもらえる賞金総額は1,000万円です。
SOFT DARTS PROFESSIONAL TOUR JAPAN/JAPAN LADIESの公式ホームページ
ソフトダーツのPERFECTプロツアー情報
PERFECTのプロツアーは、SOFT DARTS PRO TOURNAMENT 「PERFECT」が正式名称のようです。そのまま「パーフェクト」と呼ばれています。
PERFECTのツアーは年によって異なりますが、男子が年間35戦前後、女子が年間20戦前後開かれる傾向にあります。
PERFECTツアーは大会ごとにグレードが定められており、3種類あるグレード(PT300、PT200、PT100)に応じてトーナメント賞金額が変動します。また、性別によって出場できる試合が限られていたり、同グレードの大会においても獲得できる賞金に差がでてきます。
※2021年のPERFECTツアーは新型コロナウイルスの影響で中止となり、オンライントーナメントが開催されています。2022年のツアー日程はこちら。
PERFECTプロツアーの出場費用
PERFECTのツアーに出場するには、PERFECTに認められたプロ会員選手である必要があります。プロ会員選手であるためには、全戦出場可能な年会費30,000円、または4戦まで出場可能な登録費10,000円のどちらかを支払う必要があります。13戦以上参加する予定があるのであれば年会費を払った方がお得です。
PERFECTのツアーにエントリーする際には、施設使用料分担金12,000~20,000円を支払わなければいけません。施設使用料分担金は大会グレードによって異なります。PT300の大会は20,000円、PT200の大会は15,000円、PT100の大会は12,000円です。その年の開催数にもよりますが、1年間の全戦に出場する予定であれば少なくとも525,000円(15,000円×35戦)は見積っておきましょう。
他にかかる費用として、ユニフォーム代と試合会場までの遠征費が必要になります。ユニフォーム代についてはJAPANと同様に、ユニクロやAmazonで買えるポロシャツ(1,000~2,000円程度)で大丈夫でしょう。
PERFECTのプロツアー全戦に出場するためにかかる1年間の最低費用は、約555,000円+ユニフォーム代+遠征費です。
PERFECTプロツアーの開催地と遠征費について
PERFECTツアーの開催地は年によって異なりますが、JAPANよりは大会数が多めなので地域を絞った出場でもまずまずな場数をこなせるのではないでしょうか。スポット参戦することで遠征費を抑えることができます。
全35戦が開催された2019年のツアーでは8戦、全32戦が開催された2018年のツアーでは10戦が関東地方(1都6県)で行われました。
PERFECTプロツアーの賞金
PERFECTのツアーは、男女でエントリーできる試合が異なります。男女混合で競うことができるJAPANのような仕組みがないため、女子はどう足掻いても男子の最高賞金額を手にすることはありません。
ツアーの賞金には、各トーナメントの順位に応じて支払われる「トーナメントの賞金」と、最終戦終了後に決まる「年間総合ランキングの賞金」の大きく2つが存在します。
トーナメントの賞金はJAPANよりも低めに設定されていていますが、大会数が多く入賞の範囲も広いため賞金を手にできるチャンスは大きいかもしれません。
PERFECT(男子)の賞金(トーナメントと年間総合ランキング)
PERFECT(男子)のトーナメント賞金は各トーナメントの順位に応じて最大上位64名に1万円~最大150万円が支払われます。大会グレードによって賞金額が異なり、PT300は優勝が150万円、PT200は優勝で100万円、PT100は優勝で50万円かつ上位32名までに限定して支払われるなど、グレードによって賞金に大きな差があります。
優勝:150万円
準優勝:70万円
3位タイ(2名):30万円
5位タイ(4名):12万円
9位タイ(8名):5万円
17位タイ(16名):2万円
33位タイ(32名):1万円
優勝:100万円
準優勝:40万円
3位タイ(2名):16万円
5位タイ(4名):7万円
9位タイ(8名):3万円
17位タイ(16名):1.5万円
33位タイ(32名):1万円
優勝:50万円
準優勝:20万円
3位タイ(2名):10万円
5位タイ(4名):5万円
9位タイ(8名):2万円
17位タイ(16名):1万円
最終戦が終了すると、男子の年間総合ランキングに応じた賞金が上位32名に10万円~300万円支払われます。
1位:300万円
2位:190万円
3位:140万円
4位:100万円
5位~8位:55万円
9位~12位:35万円
13位~16位:20万円
17位~24位:15万円
25位~32位:10万円
PERFECTは大会数もグレードも年によって変わるため、PERFECT(男子)の全戦で優勝して年間総合ランキング1位を獲ったときの賞金総額を計算することはできません。仮に、35戦開催されて大会グレードが全てPT200だった場合、全戦優勝して年間総合ランキング1位になると賞金総額は3,800万円です。
PERFECT(女子)の賞金(トーナメントと年間総合ランキング)
PERFECT(女子)のトーナメント賞金は各トーナメントの順位に応じて上位16名に1.5万円~最大70万円が支払われます。大会グレードによって賞金額が異なり、PT300は優勝が70万円、PT200は優勝で50万円、PT100は優勝で30万円と、グレードによって賞金に大きな差があります。
優勝:70万円
準優勝:30万円
3位タイ(2名):12万円
5位タイ(4名):6万円
9位タイ(8名):3万円
優勝:50万円
準優勝:20万円
3位タイ(2名):8万円
5位タイ(4名):3.5万円
9位タイ(8名):1.5万円
優勝:30万円
準優勝:15万円
3位タイ(2名):7万円
5位タイ(4名):3万円
9位タイ(8名):1.5万円
最終戦が終了すると、女子の年間総合ランキングに応じた賞金が上位20名に10万円~150万円支払われます。
1位:150万円
2位:100万円
3位:50万円
4位:30万円
5位~8位:20万円
9位~12位:15万円
13位~20位:10万円
PERFECTは大会数もグレードも年によって変わるため、PERFECT(女子)の全戦で優勝して年間総合ランキング1位を獲ったときの賞金総額を計算することはできません。仮に、20戦開催されて大会グレードが全てPT200だった場合、全戦優勝して年間総合ランキング1位になると賞金総額は1,150万円です。
JAPANとPERFECTの経費と賞金まとめ
JAPANが開催するプロツアーに全戦出場する場合は、1年間の経費として少なくとも100万円を見込んでおく必要がありそうです。JAPANに出場する場合は1回優勝すれば1年間の収支はプラスを見込むことができますが、JAPAN LADIESに出場する場合は2回優勝しても1年間の経費と同等にしかならないので正直厳しいところです。
PERFECTはトーナメント毎の賞金がJAPANよりも低く設定されているため、いかに多くの大会に出場できるかで1年間の収入が左右されるようにも感じます。大会数は多いですが関東での開催も多いので、関東圏に住んでいてプロデビューを考えている人は、スポット参戦を視野にPERFECTのプロツアーに参加すると良いのではないでしょうか。
今回は大会の賞金と経費についての比較をしてきました。大会によっては副賞が用意されていたり、エクストラステージが用意されていたりと、細かい賞金も用意されているのですが今回は割愛させていただきました。
プロダーツプレイヤーの収入は大会の賞金だけではありません。スポンサーからの支援やイベント出演、ダーツバー経営やアルバイトをして生計を立てている人も多いように見られます。もちろん本業の傍らプロトーナメントに参加している人もいるため、ダーツプロとしての活動の仕方は多岐にわたります。
自分の実力、金銭面、使える時間などを考慮して、参加する団体や試合数などを決めてみてください。